豊田の古民家
種別/リノベーション
所在地/和歌山県紀の川市
構造/木造平屋建
延床面積/149.14㎡
竣工年/2018年
Photo/Koki Matsumoto
丁寧に住み継ぐ家
古民家の良さを活かし、丁寧に住み継ぐこと。
その本質は、時間を経たものだけに宿る“豊かさ”と共に暮らすことだと思います。
「古い釜戸を活かしたい」というクライアントの想いに共感することからスタートしました本計画。“重ねた時間”というここにしかない空気感を継承しながら、“新と旧”“外と内”が混在した空間を丁寧につくりました。
広々とした土間空間は、住まいの中にある“庭”。多趣味なクライアントのワークスペースとして計画。
土間空間の先には既存の釜戸スペース。テラス窓を設ける事で換気と共に屋外の緑を取り込む。
使い込まれた釜戸も丁寧に補修。特徴的な火入れ口の装飾。
玄関横には櫛引仕上げによる土間収納。屋外の緑と呼応するポイント壁の緩やかなカーブが室内へと導く。
リビングの天井はヨシベニヤ貼り。壁は全て漆喰による左官DIY仕上げ。クライアントと一緒に楽しみながら皆で仕上げました。
新たに設けた写真正面の壁は荒壁パネルと共に耐震ダンパーを設置した耐力壁。古民家に合わせた合理的な構造補強を各所に計画してます。
キッチン前のモザイクタイル貼のニッチ。
ヨシベニヤ、左官櫛引仕上げと共に繊細な模様が住まい全体のさりげないポイント。
リビングに面する客間。格子戸含め建具類は可能な限り丁寧に補修をし、設置場所を替え再利用しています。
古民家の特徴でもあるスパンの広い縁側空間にも天井内、及び床下へ耐震ダンパーを設置し構造補強。
耳付き一枚板を天板とした洗面台。
脱衣室に室内干しスペースも設けたゆったりとした空間。
廊下突き当たりの本棚スペース。
譲り受けた古家具と黒電話も再利用。
焼杉板で仕上げた外観。外構は今後時間をかけて仕上げる予定。
敷地奥には減築することで生まれた庭と田園風景が広がります。
BEFORE