リノベーションにおいて、何処を残し、何処を改修・転用するのかは、とても重要なポイントだと考えています。
現在改修工事が進んでおります御坊市の古民家においても、様々なことを検討しております。
一般的にハレの間に当たる南側和室には、格式を重んじて良質な素材が用いられている事が多いです。
床柱や天井板、欄間、書院など随所に趣きがある造りであることも。
ただ、改修では、日当たりの良い南側にリビングを設けるケースが多いため、それら良質な素材をどうすべきかが悩み所でした。
逆に、北側の和室は簡素な造りとなっており、こちらの住まいでは、天井からの雨漏りによって鴨居にも白蟻被害が見受けられました。
そこで改修にあたっては、天井板を北側和室に移設再利用しています。
ただ、単純に再利用と言いましたが、薄い板を傷つけずに取り外し、丁寧に汚れを落とす作業というのも大変でして、差鴨居の取り換えも含めて大工職人の腕の見せ所でもあります。
写真は北側和室の施工途中ですが、天井板の古美色と新しい竿縁のコントラストがとても良くて、グッとくるものがありました。天井中央には欄間を嵌め込み、最終的には行燈照明のような造りとなります。
手間暇を考えますとコストダウンに繋がるという訳では決してないのですが、この価値は何物にも代えがたいものなのではと感じております。
ちなみに、北側縁側の天井は新たに和天井を組み直しており、こちらも美しいですね。
随所に新旧の融合やコントラストを感じることが出来る、“ここにしかない”住まいとなる予定です。
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