貴志川の古民家
種別/リノベーション
所在地/和歌山県紀の川市
構造/木造平屋建
延床面積/113.28㎡
竣工年/2021年
Photo/Koki Matsumoto
新旧の対比が古民家に個性を吹き込む
高台から貴志川を望む、軒の深い素朴な古民家。
雨漏りの状況等から、瓦屋根から鋼板屋根へ更新。軽量化を図り耐震性を高めています。その中で、漆黒の野地板も下屋部分の更新が必要となりましたが、工事コストを抑えるという側面もありますが、敢えて古美色塗装をしないことで室内外周部を新旧の対比が取り囲むかたちとなりました。
建物全体の重厚感の中にあるその軽やかな印象が、回遊性のある間取りに沿う形で、LDKの本棚、濃紺の左官壁の個室群、そして玄関土間と繋がります。
障子や襖、そして照明デザインも伝統と革新が混在するものとなっており、新旧の対比がご夫妻のセンスと相まって素朴な古民家を唯一無二のものにしています。
*工事終了と同時にお住まい開始のため写真は一部となります。
玄関土間はからホールを望む。
洗面、トイレ、LDK、そして個室へと繋がる。
南側の二間を繋いだLDK。
リビングにはTV台を兼ねた壁面いっぱいの本棚。
キッチンは床を一段下げることで梁下高さをクリアしながら、お料理をしながら食卓と目線が合う高さに設定している。
床材と同じ杉材の腰壁で手元を隠すよう造作で囲んでいる。
キッチンのデザインに合わせて、床は漆黒の磁器タイル貼。
新たに設けた伝統的な格子柄の内障子が室内に柔らかな光を届ける。
個室へ繋がる引分けの襖。当面は開け放ち、畳コーナーとして使う予定。襖の濃紺色は後に続く部屋と合わせたご夫婦の拘りの一品。
襖を開けると濃紺の左官壁が現れる。
新たな杉の野地板天井が外周部を囲む。
濃紺の左官壁は、施主様が普段から親しくされている左官屋独自のブレンド。
そのまま北側の壁を沿う形でウォークスルークローゼットを介して水回りへと繋がる。
トイレの手洗いも施主様が信楽で買い付けて来られたもの。
さりげなく青色で統一されている。
北側に設けた浴室は、軒の低さによって梁が干渉するためハーフユニットバスを採用。壁と天井は桧無垢板貼り浸透性保護+防腐剤塗布。
西側の庭からは貴志川を望む。
ゆったりとした時間が流れている。
BEFORE