橿原の家
種別/リノベーション
所在地/奈良県橿原市
構造/木造2階建
延床面積/71.22㎡
竣工年/2018年
Photo/Koki Matsumoto
最少の手数で最大限の価値を生む
空き家をリノベーションし、新たな住まい手に届ける再生事業です。
現状は築39年、未改修の木造2階建て。構造、床下、内装、そして改修コスト共に難しい状況でした。
こういった厳しい制約の中では「せざるおえない」を単に積み重ねることで精一杯で、結果、元の状態が単に綺麗になるだけになりがち。それでは新たな暮らしを支える器としての役割は果せない。
本計画では、1+1=3に変える、この建物だからこその再生手法が求められました。
そこで複数の問題を同時に解決するために、建物が持つ特性である東西に長い平面を緩やかに結びながら、間仕切りとなる構造壁を挿入すると共に光と風を住まい全体に行き渡らせています。
所謂、昔ながらの建売住宅の中にある埋もれた魅力を蘇らせることこそが、最少の手数で最大限の価値を生み出すポイントであり、結果、“個性”を見出すことに繋がりました。
玄関スペース。階段と角度を合わし、斜めに配置した上がり框が奥行きを生んでいる。
既存階段の格子手摺、和天井は白く塗装。
階段下のスペースにトイレを移設している。
1階リビング。脚元の悪かった水回りを移設し、東西へ視線が通り抜ける間取りへ再編集。リビングに光を通すと共に、適切な構造補強を行っている。
構造補強では、通常の筋交い及び金物接合と共に、華奢だった梁の補強として添梁を行い、それらを現しとすることで軽やかなリズムを生み出している。
元々は写真のキッチンがある付近に浴室とトイレがあり、遮られ暗かった和室。ガラス面を広く取った建具、欄間がリビングからの光を導く。
設備類はシンプルなものを選定。
階段の先には白で統一した廊下。
毛足が長く足触りの良いタイルカーペット貼りの主寝室。
床面積を補うためロフト収納を設けた子供室。正面のポイント壁は黒板クロス仕上げ。
秘密基地のようなスペース。
深みのある色彩で統一した玄関まわり。
外壁塗装も建物に合う色彩を採用。
BEFORE